2014年2月19日水曜日

専門演習紹介:大川裕嗣ゼミ・ ゼミ合宿活動報告

根本 祐輔(大川裕嗣ゼミ生)


私たちのゼミでは、9月25日と26日に新潟県で合宿を行いました。

合宿初日は、三条鍛冶道場で和釘づくりの体験です。熟練の鍛冶職人の方に指導されながらの製作ですが、釘一本をつくる難しさを実感します。釘自体はシンプルなようでも、上手く仕上げるのは技術が必要です。鎚をなんとか使いこなし、釘の先端を尖らせるのがやっとでした。また、鉄が熱せられているうちに鍛えるためには手際よく打たなければなりません。釘の頭の部分は力加減や打つ角度が重要なポイントで、正確さが要求されます。和釘には、いくつかの種類があるようで頭部の形状に違いがあります。完成した2種類の和釘は不恰好なものになってしまいました。しかし、金物のまち三条市で江戸時代に始まる和釘づくりを体験して手にした和釘には、見た目以上の重みがありました。

次に向かったのは、大河津分水路です。大河津分水路は信濃川の水量を調整し、水害を防ぐ役割を持ちます。越後平野が農業の生産性を向上させ、穀倉地帯となるためには欠かせないものだったのです。工事は明治3年に開始され、これまでに補修・補強が繰り返されてきました。水害との戦いが繰り返された場所であり、治水の歴史の一部をみることができたと思います。

2日目には、出雲崎石油記念館を見学しました。日本石油産業発祥の地ということで、日本で最初に導入された機械掘削井戸が模型で再現されていました。他にも、石油の掘削方法や装置の推移の様子、石油ランプなどの照明製品が展示されています。同じ建物の中には、天領出雲崎時代館もあり、こちらでは江戸時代に幕府直轄地として繁栄した港の様子が再現されています。佐渡から産出される金銀は幕府の財政を支えており、それらを陸揚げする港のある出雲崎は重要な地域だったようです。

次に、旧新潟税関と旧第四銀行住友町支店のある、「みなとぴあ」へ向かいました。旧新潟税関の建物は瓦屋根になまこ壁、アーチ型の入り口と洋風の照明など、和と洋が混ざった建築をみることができます。明治元年に開港した新潟港に伴い建てられ、近くには石庫と呼ばれる保税倉庫もあります。この石庫は荷物の行き先が決まるまで一時的に保管する場所でした。その後、旧第四銀行住友町支店を見て回りました。建物の外観は古代ギリシアの神殿のような雰囲気を持っています。建物の外観がその銀行の信用に影響するという認識があったため、高い建築費をかけてつくられたようです。

最後に見学したのは、市島邸です。北越屈指の豪農の邸宅は、敷地が約8千坪、建坪が約6百坪ほどあります。南山亭と呼ばれる建物は93畳もの広さがあり、大広間は見たことのない眺めでした。資料館には、市島家歴代当主に関わる所蔵品が展示されています。

新潟県の名所を巡り、体験や見学を通してその歴史に触れることができた2日間となりました。