西川 和明 (教授・就職委員)
最近の本学経済経営学類卒業生の進路の特徴について申し上げたいと思います。これには、3つの特徴をあげることができます。第1は、本経済経営学類は旧福島高商・旧経済学部の時代から金融機関に多くの卒業生を輩出し、銀行など金融機関が常に就職先のトップの座にあったわけですが、2010年度(平成22年度)に初めて公務員が金融機関に変わってトップとなり、2012年度(平成24年度)においても、公務員が53名と金融機関の47名を上回りました。2012年度(平成24年度)の就職先官公庁としては福島県庁が圧倒的に多く17名となっています。福島県庁への就職者数は2008年度(平成20年度)2名、2009年度(平成21年度)から2011年度(平成23年度)は各4名であったところ、2012年度(平成24年度)は大幅に増加したことになります。
就職先官公庁は2008年度(平成20年度)が21カ所であったところ、2012年度(平成24年度)は県庁のほかにも様々な役場や市役所も交じって311カ所と広範囲に及んでいることも特徴の一つです。
※ 図表1 公務員と金融機関への就職者数 (こちら zuhyou1.pdf)
第2の特徴は、今述べた公務員と金融機関とで就職者全体の半分近くを占めているということです。言うなれば、卒業生たちが同窓会を開くと2人に1人は公務員か銀行員ということになります。
この比率は、今までも大きな変化なく推移して来たわけですが、大震災のあった2011年度(平成23年度)に4割を下回るレベルにまで低下したものの2012年度(平成24年度)は定位置に戻った形となっています。
※図表2 公務員と金融機関への就職者比率(こちら zuhyou2.pdf)
特に公務員に関しては、2008年度(平成20年度)には地方公務員の比率が6割、国家公務員が4割と、国家公務員もかなりの比率を占めていたのですが、2012年度(平成24年度)は地方公務員が公務員全体の92%と、公務員と言っても地方公務員がそのほとんどを占めている状況にあります。
※図表3 地方公務員になった者と地方金融機関に就職した者を合算し、全就職者数で割ったもの
(こちら zuhyou3.pdf)
わが国が超高齢社会へと向かいつつある中、東南アジアやBRICSと言われる新興成長市場を見据えて大手企業に限らず中小企業もグローバルな展開を進めており、就活中の大学生に対する全国的な人気企業アンケートによると、トップ100の中に商社やメガバンク、大手メーカーなど国際的に活躍する企業が名を連ねています。残念ながら本学卒業生からこれら企業への就職者数は毎年せいぜい2,3名であり、卒業生の大多数が地方自治体や地方金融機関に就職していることになっているわけです。
しかし、国際的に活躍したいとグローバル企業を目指す学生も多く存在していたことも確かです。最初はこういう夢を持っていても、途中で地方の金融機関や公務員へと進路を変えた学生が多いというのが現実です。
大学とは多様な価値を探求する若者が集うところであり、世界に羽ばたきたいと夢見る学生たちがいるのであれば途中で挫折することなくその夢をかなえられるようにサポートするのも就職委員の重要な仕事と考えています。
【2012年度(平成24年度):主な就職先】