※後援会報 第49号(2015.1/23発行) 転載記事
菱沼広暉(大川ゼミ)
私たち大川裕嗣ゼミナールでは8月26日と27日に合宿を行いました。
1日目は、常磐炭田の採掘の歴史が展示されている「いわき市石炭科学館ほるる」へ行きました。学習・標本展示室では磐城の地形についてのジオラマや本物の鉱物が展示してあります。常磐炭田が磐城の産業を支え、日本の近代産業の発展を担っていた場所であったということが分かりました。地下にある模擬坑道では採掘の方法の進歩についての模型が展示してありました。時代が進むにつれて採掘の方法が組織的で効率的なものになり、安全性も増していき、産業の近代化というものを目で見て感じることができました。生活館では昭和10年頃の炭坑で働いていた人々の生活を展示してある等身大の模型や当時の資料を見ることができました。 その次に、日産の自動車に使用されるVQエンジンの製造工場である「日産自動車いわき工場」に向かいました。工場内では作業をする方々が業務を効率的に進めるために自作の機械や道具を作っており、機械で行う作業と人が行う作業のラインの分担や工場内で異常があった時のためのサポートの体制が明確にされていていました。機械と人間とをバランスよく組み合わせて製造を行っている工場であると感じました。
2日目には、日立製作所の創業者である小平浪平と日立の歩みについての記念館である「日立製作所小平記念館」を訪ねました。創業小屋では創業者・小平浪平が作った日立製作所初の製品である国産初の5馬力モーターが展示してされており、100年以上も前に作られたモーターが現在も動く状態で残っていることに驚きました。展望台からは日立の街を一望することができ、その工場の規模の大きさについて知ることができました。展示スペースでは小平浪平が実際に使用していた道具や年表から一個人としての小平浪平を垣間見ることができました。また、日立の製品や技術開発の歩みについて年代順に並んだ展示スペースや、日立製作所と日立の街との関わりについて映像やジオラマ、パネルなどの展示もあり、日立製作所の功績や地域への貢献といったものを実感しました。
最後に見学したのは日立鉱山跡地にある「日鉱記念館」です。山間の静かでとても綺麗な場所にありました。そこでは鉱山での暮らしや発展について洗練された展示物が多数展示されており、創業者久原房之介を始めとした新日鉱グループの歩みについて紹介されていました。久原房之介は日立鉱山を開業し、わずか数年で日本有数の銅山に成長させ、久原鉱業を設立した人物です。そこでは小平浪平が工作課長として活躍しており、日立製作所は日立鉱山付属の電気機械修理工場に端を発したものでした。久原鉱業2代社長に就任した鮎川義介は久原鉱業を日本初の公開持株会社「日本産業」に改組し「日産コンツェルン」に発展させました。
今回の合宿ではこの新日鉱グループの事業を軸とし、いわき市から日立市の地域産業について学ぶとても有意義なものとなりました。企業は事業の発展のみならず、地域と密接に関わって近代化を進めたということが実感できるとても良い機会になりました。