2013年10月1日火曜日

伊藤 宏(教授・就職支援委員長):最近の就職状況について

※同窓会報『信陵』No.83 入学特集(2013.4/25発行)転載記事

伊藤 宏(教授・就職支援委員長)

平成24年度(2012年度)卒業生(25年(2013年)3月卒業生)の就職率は、最終集計ではありませんが3月15日現在で96.6%(留学生を除く)であり、昨年、一昨年と比較して改善されています。特徴的なのは、福島県内の就職が昨年と比較して10ポイント近く増加(全学での数値)している点です。震災や原発事故の直接的な影響も一段落し、復興需要と相俟って福島の復興のために県内で就職しようという学生が増えた結果ではないかと考えております。

ところで、最近の若者は「指示待ち族」であるとか「マニュアル人間」などと評されることがありますが、このことが就職活動にも反映しているようです。誰かに目標や課題を与えられれば、一所懸命にやるが、自らが目標や課題を発見することが苦手な学生も多いです。就職活動においても明確な目標が見つけられずに、それを模索している間に時機を逸してしまう学生もいます。また、たとえ目標が決まっていても、学生からよく話を聞くと、それが親からの「刷り込み」であることも少なくありません。早い時期に自分のキャリアについて考えてほしいと思います。

就職ガイダンスの時に、「面接の時のドアのノックは何回すればいいですか?」「ネクタイの色は何色がいいですか?」等々の枝葉末節な質問が出ることも珍しくありません。就職活動に守るべき「マニュアル」があり、それに従えばよい結果が得られるという「幻想」を持っているのでしょうか。また、皆と異なることをすることを極端に嫌い、リスクを取ろうとしない学生も多いです。就職活動で本当に大事なことは何かを自分自身でしっかり考えてほしいと思います。就職支援業者やマスコミによる情報過多がこのようなことの原因の一つでしょうが、多くの情報の中で何が重要であり、何が自分に当てはまるかを見極めないとダメです。すべての情報を鵜呑みにしてしまうと身動きが取れなくなってしまいます。

就職活動で最も大事なことは、マニュアルでもスマホでもなく、魅力的な自分を発見することと、それをちゃんと相手に伝えられるコミュニケーション能力です。就活は最終的には人と人との繋がりなんですから。