2013年8月16日金曜日

稲村 健太郎(准教授)新任教員あいさつ:租税法の面白さ

※後援会報  第46号(2013.8/2発行) 転載記事

稲村 健太郎(准教授)

4月に本学に赴任いたしました稲村健太郎です。租税法を専攻しており、学類では「租税法Ⅰ・Ⅱ」を担当し、大学院では「租税法特殊研究Ⅰ・Ⅱ」を担当しております。

租税法は租税に関する法(ルール)のことですが、条文が複雑で、関連する学問分野(会計学、財政学、憲法、民法、会社法等)も多岐にわたります。私は本学大学院経済学研究科のOBですが、初めて法学に入門した時は、その思考様式の違いに大変驚きました。私の感覚では、経済学や経営学は展開していく(広げていく)思考方法であるのに対し、法学(租税法も含む)は、閉じていく思考方法(型抜きやジグソーパズルに近い?)であるように思います。慣れてくるとその独特の思考様式が心地よくなってきます。

授業中に判例に基づく議論、例えば、「そもそも租税法で勉強する租税とは何?」ということが争われた判例等を題材として議論をして頂く回がありますが、学生の皆さんからはたいへん鋭い意見が出てきます。学生の皆さんが授業に向き合う姿勢はとても真摯で、熱心にメモをとり、欠席者もほとんどいないことに驚きました。今まで教鞭を執った大学の中で、福島大学の学生が最も熱心で真面目なのではないかと感じます。

ここで、「租税法における租税とは何か」を考える際にも、経済的実質と法的形式(法にも究極的には趣旨・目的という実質があることを忘れてはいけませんが)のバランスをどこでとるべきかという興味深い問題があります。学類の「租税法」は3年次(5・6セメスター)で履修する科目なので、これまで学生の皆さんが学んできた経済学的視点から、法的思考方法の面白さ(ある意味、初めは融通の利かない異質なものとしての面白さであるかもしれない)を感じていただき、租税法学習の導入になればと考えています。

本学では、税理士や会計士等の会計専門家を目指す学生を対象に、学類では「会計エキスパートコース」、大学院では「会計税務プログラム」が設置され、学類での早期の高度科目履修や、大学院での会計・税務に関する理論と実務両面からの専門教育が受けやすい環境が整っています。

また、大学院では夜間にも授業が開講されていますので、一度就職などにより社会経験を積んだ方が、働きながら専門的な知識を身につけ、修士の学位を取得することができます。

福島県は、他県に比べて会計専門家の数が少ないといわれています。それは、学生の皆さんにとってはチャンスであるといえます。日々の勉学の中で、少しずつ関心が深まり、自分の進むべき道が会計・税務の道であると感じたとしたら、ぜひ実現して、福島県の会計専門家として大輪の華を咲かせてください。