※後援会報 第48号(2014.8/1発行) 転載記事
はじめに
毎年、学年終了とともに、学類生全体の成績を成績の良しあしを測る指標であるグレード・ポイントの平均(GPA)と修得単位を各学年でまとめ、全体像を分析している。本稿では、その要点をお伝えする。
この場合のGPAは、「要卒」GPAの事であり、具体的な科目は、3つの専攻ごとに異なるが、2セメまでは、学類生共通である。ただし、2013年度から新カリがスタートし、それまでとは異なる科目群となっている。例えば、旧カリでは、2年生前期(3セメ)に置かれていた「モダンエコノミクス入門」、「政治経済学入門」、「経営学入門」が、新カリでは、ⅠとⅡに分割され、1セメと2セメに配置され、旧カリで2セメに置かれていた「統計情報の処理」が新カリでは、配置されていない。このように、2013年生からは、それ以前に入学した学生と比べて、2セメまでに関しては、かなり異なる「要卒科目」になっており、初年度からより専門性の高い教育内容であると言えよう。
この様な事情を背景に、2013年の1年生の成績分布を見ると、第1に、それまでは、幾人かは存在した、オールAの成績でGPA4という学生が皆無である事が、鮮明な特徴であると言えよう。つまり、最高部類の成績で入学した1年生の中でも学類の多様な教育内容を全て最高の成績評価で修了した学生が皆無であったのである。
第2に言える事は、従来は成績分布の山に来ていたGPA3.0~3.49の層が昨年を若干上回ったものの、32.1%と相対的に低水準であり、その上の層(GPA3.5~3.99)が初めて一ケタの9.4%となった事が特徴的である。後者の層は、年によっては前者と匹敵するくらい分布していたし、2012年の1年生は25.5%、最小でも2011年の1年生の17.1%であった。つまり、昨年の1年生は、オールAに近い層が縮小し、分布の山も低くなった。
第3に言える事は、上記の2点と関係するが、我々が求めている「望ましい水準」であるCを含むGPA2.0~2.49の層と同じく2.5~2.99の層が、以前よりは相対的に分厚くなったことである。前者は、初めて20%を上回り、後者も過去最高の24.4%となった。
第4に言える事は、以前はGPA2未満の層が合わせても10%に達せず、最小の年は、2010年の1年生の3.6%であったが、昨年度は、11.5%となり、初めて二ケタとなった。その中でもGPA1.5~1.99の要卒ギリギリの層が、8.1%となっている。0.49までの層が、初めて0になった事が、全体的に成績が下がった中での救いであろう。
2。1年生(2セメ)終了時の修得単位数
第1に言える事は、分布の山が、以前は40~44単位であったものが、その上の45~49単位となったことである。Cap制度では、1セメあたりの履修登録が24単位までとされていて、以前の修得単位数の山はこの事で説明される。昨年の1年生がこれを上回ったのは、会計エキスパートプログラムでの認定単位がCap外で認められた事が作用している。
第2に言える事は、従来の山であった40~44単位の層も41.9%いて、全体的に修得単位数は、それ以前より優れていると言えよう。
第3に、30単位未満の層は、従来に比べて若干減少し、1.3%となり、20単位未満の層は、従来も1%内外であったが、初めて0となった。
この事から、昨年の1年生全員が、成績内容は多様なものがあるとはいえ、共通教育等の大学の初年次教育を受け、学類の新カリの下で学習していると言えよう。
3。2年生(4セメ)終了時
1312生の特徴は、GPAでは、全体的に上昇している。
具体的には、昨年に引き続き4、すなわち、オールA
の者が、0.4%存在し、その下の層(3.5~3.99)も過去最高の19.5%、3.0~3.49の層も従来並みの35.7%存在している。この事から、従来は、第二に割合が高かった2.5~2.99の層(1306生だけは、分布の山で31.0%であった)が、初めて20%を下回り19.1%となり、2.0~2.49の層も過去最低の11.2%であった。しかし、2.0未満の層は、例年並みに存在していた。この事から成績の2極化が先鋭になったと言えよう。
1312生の修得単位数の特徴は、一言、例年並みである事である。すなわち、分布の山は、80~89単位の60.2%にあって70~79単位が20.7%、90~99単位が7.1%となり、山が突出している事には変わりがない。
低水準の修得単位数の者も少数とはいえ例年通り存在しているので、きめ細かい対応が必要となる。
4。3年生(4セメ)終了時
1311生の特徴は、GPAでは、ほぼ例年並みではあるが、このままでは卒業できない2未満の中でも1.5~1.99の層が過去最高の8.0%にはなったものの、それ以下の層が目立って減少し、1.0~1.49の層の1.3%のみになった事である。従来は、1.5未満の層が多い年で6%前後存在した。2.0未満の層は、低水準の成績の科目を再履修により向上させればGPA2.0の要卒水準を達成できるのでそれほど心配する事はない。ただ、最底辺の成績者への手当が、きめ細かく行われる必要がある。
1311生の修得単位数も例年並みである。具体的には、110~119単位の層が山となり、57.8%存在する。その両脇の層である、100~109単位の層と120~129単位の層が、15.6%で同じになっている。すなわち、大変急峻は富士山型となっている。その裾野は、少数でなだらかな形となっている。修得単位数が低水準の者も少数ながら存在しているのできめ細やかな対応が必要である。
5。4年生(8セメ)終了時
1310生の特徴は、GPAでは、オールAの4.0は例年通り皆無であったものの、3.5~3.99の層が過去最高の15.8%となった事である。3.0~3.49の層も30.8%存在し、それ以前の2年間とともに3.0以上の卒業者が合わせて46.2%となり、過去最高である昨年の53.5%に続く数字となっている。3.0未満の層は例年通りであるが、卒業できなかった2.0未満の層も減少したとは言え、合わせて4.8%存在するので、きめ細やかな対応が必要となる。
修得単位数では、卒業に必要な単位である124単位以上の層が90%以上存在し、この割合は近年の傾向と同様である。卒業できなかった層が存在するので、きめ細やかな対応が必要である。
6。2013年度卒業生(1310生)の成績の推移
4年間で卒業する為には、124単位と要卒GPA2.0以上が必要となる。上記のように、90%を超える学生がこの基準をクリアーして卒業している。修得単位は、累積されるので124単位を目ざして日々学問に励むしかない。GPAは、仮に2.0を下回っても、ふるわない成績の科目に再チャレンジしてその科目の成績を向上させれば、2.0をクリアーする事は可能である。このように、本学では唯一GPAを卒業要件にしている我が学類が、厳しい生存競争が行われている現代社会に乗り出そうとしている若者を自信を持って送り出す体制を構築する事が出来れば、幸いである。
さて、2013年度に卒業した学年は、GPA3.0以上の安定した成績の層が、1年生から卒業まで約半数となり、大半が無事卒業した。2.0未満の層は、3年生までは6%以上存在したが、最終的には、5%未満となった。修得単位数は、Capの上限を順調に獲得している層が、各学年で大きな山を形成し、学年進行とともにそのまま推移している。ただ、少数とはいえ、4年生が終了しても卒業に必要な単位数の半分に満たない者も存在している。彼らに対する充分な支援が必要となる。
(教務委員/教授 藤原 一哉)