※後援会報 第49号(2015.1/23発行) 転載記事
山田 美咲 (佐野孝治ゼミ)
我々佐野特別演習(海外調査実習)の一行は、2014年9月に9日間の日程でバングラデシュへフィールドワークに赴いた。このフィールドワークの目的は、バングラデシュに進出している日系企業と、現地で活動するNGOへの訪問、調査であった。
しかし、滞在中奇しくも「ホルタル」と呼ばれるゼネラル・ストライキが現地で発生した。この突発的な騒擾との遭遇に、予定していた施設への訪問を断念せざるを得なくなる等、様々なアクシデントに見舞われたが、結果としてバングラデシュについて見聞を広める良い機会となったように思う。
さて、近年バングラデシュはGDP成長率が毎年6%程度の値をとっており、目下急成長を続けている。若年層を中心に豊富な人口を抱えていることもあり、現在生産拠点としてだけではなく新たなマーケットとしても高く注目を集めている国である。そこで我々は、1つは生産拠点として、1つは新たな市場として進出した2つの日系企業に訪問した。現在は日系企業においてバングラデシュ進出の黎明期であり、発展途上である今しか聞けない貴重なお話を伺うことができ、2つのファクターからバングラデシュの経済の魅力を見つめることができた。
他方、バングラデシュは社会開発の遅れが深刻な問題となっており、特に国内でも都市部と農村部の間に大きな格差が広がっている。我々は貧困・飢餓、高等教育の地方格差、農村部の開発のそれぞれの問題に焦点をあて、この問題に対し活動するNGO3団体を訪問した。実際に現地で活動しているNGOスタッフの方々からお話を伺い、バングラデシュの現状だけではなく、書面等では知ることのできないスタッフの熱意まで知ることができた。
実際に農村も訪れ、職業訓練を受けた方々へインタビューをすることができたが、より多くの収入を得られるようになったと誇らしげに自らの縫った服を見せてくれた女性の笑顔が、強く印象に残っている。
バングラデシュはまだ成長途中の国であるが、その内に秘めているエネルギーは驚くほどのものがある。実際にこの国に立ち、様々な人々と話を交わすことで、そのエネルギーの一端を私も肌身に感じることが出来たように思う。フィールドワーク実習は終わってしまったが、熱き国バングラデシュの今後の姿をこれからも見続けていきたい。