2017年10月5日木曜日

経済経営学類の教育体制と近年の動向

※福島大学経済経営学類後援会会報  第54号(2017年7月28日発行) 転載記事

1  現行カリキュラムの概要
 経済経営学類の現行カリキュラムは,2013年度入学生から適用されています。このカリキュラムでは,経済学・経営学の「基礎的な要素」の修得を目指し,第1セメスター(1年次前期)から第3セメスター(2年次前期)にかけて,必修度の高いリテラシー科目を配置したほか,以前のカリキュラムでは第4セメスター(2年次後期)に配置されていた経済英語演習を第3セメスターに繰り上げました。これにより, 1年次の教養演習から4年次の卒業論文演習まで,「主体的に学ぶ力」を身につける少人数の演習科目を切れ間なく提供できるようになりました。このカリキュラムの下で学んだ学生が今春初めて卒業しましたが,留年生の増加なども見られず,「基礎的な素養」と「主体的に学ぶ力」を併せ持った学生が増えてきているように見受けられます。

2  履修基準と要卒GPA
 経済経営学類を卒業するためには最低でも合計124単位を修得する必要があります。高校までの学習スタイルとは異なり,個々の学生が自らの目標や関心に応じて時間割を設定することになりますが,自由に124単位を埋めればよいわけでなく,「自己デザイン領域」,「共通領域」,「専門領域」,「自由選択領域」の区分ごとに定められた必修単位数を満たさなくてはなりません。このルールを履修基準といいます。ガイダンスにおける履修指導と『学習案内』の記載をよく理解して計画的に履修することが必要です。
 また,本学類の卒業にはもうひとつ大切な要件があります。それが要卒GPA(Grade Point Average)です。本学の成績評価はA,B,C,D(ここまでが合格で,単位が与えられます),F(不合格で,単位は与えられません)の5段階ですが,それぞれの評価に4,3,2,1,0のGrade Point(GP)が付与されます。本学類では,専門領域科目のうちの特に定める科目群(58単位)について,そのGPの平均(要卒GPA)が2.0を超えないと卒業することができません。したがって,要卒GPA科目群の成績がすべてDとCであった場合,単位数はクリアしていても,GPAは2.0を下回ることになり,卒業できないということになります。毎年僅かな人数ではありますが,卒業に必要な単位数は足りていても要卒GPAが満たせずに留年する学生がいます。厳しい基準ではありますが,本学類における学士号の「質保証」を担保するための制度であるとご理解ください。また,特に成績に懸念のある学生には早期警告の措置をとっていますが,ご希望があったご家庭には,毎年夏に成績表をお送りしています。ぜひご確認ください。

3  アドバイザー教員制度
 本学類にはアドバイザー教員制度があります。アドバイザー教員は,各セメスターで履修・所属している少人数の演習科目の担当教員を指します。経済経営学類生は,入学時の第1セメスターから卒業時の第8セメスターまで,教養演習I・Ⅱ,経済英語演習,専門演習,卒業論文演習といった少人数の演習科目を履修しますが,多くは必修科目になっています。各演習科目の担当教員は,学生の状況を日頃からきめ細かく把握し,学生の求めに応じて日常的に就学や生活に関わる相談を受けたり,教員が必要を意識した際には教員からアプローチして面談を行ったりすることになっています。
 アドバイザー教員からは,就学状況報告書を各年度の前期と後期にそれぞれ提出してもらっています。これにより成績や就学状況,学生生活上の懸念のある学生について報告してもらい,その情報を教務委員と学生生活委員とで共有し,必要に応じて該当する学生と面談を行っています。
 この仕組みを導入したことにより,従来よりも学生の問題状況を把握しやすくなったといえますが,演習科目に出席しなくなったり,教員との連絡が取れなくなったりする学生については,その状況をさらに詳しく把握し,対処することが難しくなります。後援会会員のみなさまにおかれましても,ご子息,ご息女の生活に目配りをお願い致します。

4  地域に根ざした課題発見解決型教育
 本学類では,さらに意欲的に勉強したい学生のために,会計エキスパート養成プログラム,グローバル人材育成プログラム,英語特修プログラム(英語副専攻制度),ふくしま未来学(COC),情報特修プログラムなどのプログラムを用意しています。また,地域に根ざした課題発見解決型の教育を推進するため,昨年度からは,新入生学外研修(教養演習Ⅰ(第1セメスター)のなかで実施)において,福島県内の地域復興の実際を学ぶ機会を設けたほか,今年度からは,特別演習として,企業と連携したコーオプ演習(今年度は,東邦銀行,楽天野球団との連携)を開講しました。さらに,近年では,多様な外部団体による講義も増えています。こうしたなかで,全国レベルのコンペで学生が受賞(例:吉田ゼミ「北村記念賞」(土木学会公共政策デザインコンペ))するなどの成果も現れています。
 最後に,経済経営学類公式ブログ(http://www.econ.fukushima-u.ac.jp)では,学類における教育研究実践をはじめ,ゼミの様子や学類生の諸活動などを発信しています。ぜひ,ご覧ください。

(経済経営学類 教務委員 吉田 樹)