すでにマスコミ等で情報を得られている後援会の皆さんも多いかとは思いますが、あらためて最近の就職動向をお伝えすると、昨年度の就職率は全国の大学(学部)で97.6%(文部科学省発表、平成29年4月1日現在)、本学類で96.4%(男95.6%、女98.5%)でした。これは全国的には2008年のリーマンショック以来の低迷期を脱し、それ以前の水準に戻ったことを示しています。それとともに、本学類も全国の動向と歩調をともにし、とくに東日本大震災以降ではいずれも96%以上の高水準を維持し続けております。
また、就職先を業種別に見ますと、昨年度と、あるいはそれ以前と傾向に大きな変化はなく、とくに「公務員」、「金融業」、「卸・小売り業」の3つが依然として上位に位置しております。こうした状況をもう少し詳しく見たのが、ここ9年間のデータをもとに就職先を業種別に示した以下のグラフです。
このグラフが示す大きな特徴の一つとして、地方公務員について2010年度と2012年度をピークに、やや低落傾向にあることが目につくかと思います。とくに東日本大震災後の2012年度以降は福島県や宮城県で採用枠を大幅に拡大し、また学生の側でも被災地のために働きたいと公務員を志向する者が多く見られました。しかし、最近は県側の大卒採用枠も従来の水準にほぼ戻り、また学生の公務員志向も一時ほど強くはないように思います。
もう一つの特徴は、製造業に就職する者の数が低落傾向であるのに対し、卸・小売り業、サービス業、情報通信業に就職する者の数が増加傾向にある点です。これはここ数十年にわたって一貫してみられる第2次産業の生産比率の減少、第3次産業の生産比率増加という産業変化に対応するもので、今後この流れはさらに続くものと思われます。
さて、全体的な傾向は以上のとおりですが、では学生一人一人の就職活動の状況はどうかとなると、じつはなかなか厳しいものがあるようです。むろん、第一希望の就職先から早い段階で内定をもらう学生もおります。しかしそれ以上に、数社を回っても内定をもらえない、あるいは内定はいくつかもらったものの、本当に働きたいと思える企業からはもらえず、就職活動を続けている...。そんな学生が多いのも事実です。
こうした事態をなるべく避けるため、大学としても就職意欲を涵養するカリキュラムを組み、またさまざまな就職支援のプログラムを実施しております。しかし、なによりポイントとなるのは就職する側の前向きな姿勢、この企業や役所で働きたい、何かをしたいと思えるきっかけや動機付けがあるかどうかです。なかなか直接教示することが困難な部分ですが、これがないとなかなか就職先は決まらないし、また企業の側から評価を得られることも難しくなります。
逆に言うと、就職について積極的な姿勢をみずから確立し、また企業や役所から「採用」という評価を得ることで、学生は大きく成長します。就職活動をするということは、一面でこのような成長、変身のプロセスです。まさにメタモルフォーゼという言葉が示されるような大きな変化を遂げるときなのです。
ご父兄の皆様には就職活動について不安をお持ちだとは思いますが、就職活動のプロセスを経ることでご子息ご息女が大きく成長する大事な機会だと捉え、直接的間接的な支援をお願いできればと思います。
(経済経営学類 就職支援委員 佐藤 寿博)