2014年3月4日火曜日

郡山市連携講座「ふくしま未来食・農教育プログラム」第4回:受講体験記

郡山市との連携による「ふくしま未来食・農教育プログラム」公開講座(コーディネータ:林薫平特任准教授)の第4回(2013年度最終講義)を聴講してきました。

  • 日 時: 2014年2月24日(月) 18:00~20:00
  • 場 所: 郡山市役所特別会議室
  • 講 師: 根本 圭介 氏(東京大学 生産環境生物学 教授)

この講座は、2013年11月下旬から、郡山市役所を会場として、4回にわたり無料公開されてきました。

第4回めのテーマは「水稲の放射性物質の動き」根本圭介東京大学教授(栽培学)による講義でした。

農業体験ゼロの私に理解できるものなのか? 少々の不安を抱きながらの受講となりました。

会場は、生産者の方をはじめ、営農指導者、生産者団体・組合の方、食品業界の方、行政の方、消費者としての郡山市民、学生、そして、県外からの大学生(農学部系)と年代も立場も様々でした。


講義は、
①これまでに行った「放射性セシウムのイネへの移行」の報告
②放射性物質の作物への移行経路
③事故当年におけるコメへのセシウム移行
④土壌のカリウム濃度とセシウム吸収との関係
⑤事故翌年の「試験栽培」の報告
⑥例外的なセシウム吸収の謎
⑦用水からのセシウム吸収の可能性
⑧コメへのセシウム移行と水田生態系の特殊性
       と初学者にはありがたいスモールステップ形式で進行しました。

なかでも、
●「小国」という地域での放射性物質の低減対策をしていない試験栽培についての報告
●普通の水田とは異なる経路でセシウムを吸収していると推察される水田の事例説明
が、興味深い内容で深く耳を傾けました。

今回の講義を通じて、セシウムを吸収してしまう米はどんな水田だからなのか、土は・・・、水は・・・、地形は・・ という点が、私の中でクリアになったので、現在、流通しているお米がなぜ「安全」といえるのかについても「スッ」と腹におちる感覚で得心にいたりました。

農業体験ゼロ、イネの植物学的知識ゼロの私が、睡魔に襲われることもなく「楽しい」という感情のままに米生産者の方と同席受講できたのは、目配り、気配りのきいた講義構成のおかげ様だと思います。単なる試験結果のデータの羅列ではなく、状況→実験の目的→仮説→実験の結果→結果のポイント→課題→仮説と、実験に至る道筋が丁寧に説明され、受講者があたかも同時に実験を体験しているかのように写真や図が提示されたこと。さらに、テーマのステップごとに平易な言葉で説明されたこと。手元のレジュメでも、実験結果のグラフやそのポイントを確認できたこと。などなど、聞き手がつまずかないように、思考停止に陥らないようにとの配慮が随所にちりばめられた講座でした。

講義の後半では、石井秀樹特任准教授によるリードで「質疑応答」の時間も設けられておりました。根本教授の講義は、生産者の方や農学についての深い知見をお持ちの方にはさらに響いたようで、積極的な質問タイムとなりました。受講者からは「ため池などの用水」「地形の及ぼす影響」「収穫方法とセシウムの関係」「台風被害で水につかってしまったイネとセシウムの関係」など、営農時におけるより具体的な質問があり、根本教授はその一つ一つに対して、丁寧に回答を寄せてくださいました。根本教授からの回答はみな、生産者の方の不安を払しょくするものでした。(回答は紙面の都合で割愛しますが、2014年度の公開講座でぜひお確かめください)
 (文責:吉田 佳世子)

<予告:お知らせ>

2013年度の郡山市との連携公開講座は2月24日で終了しましたが、2014年度についても「ふくしま未来食・農教育プログラム」の公開講座が開講される予定です。

2014年度のトップバッターは、「美味しんぼ」のストーリー中でもその研究内容が紹介されている小山良太准教授の予定です。予約不要で、どなたでもご参加いただけます。

  • 日 時: 2014年5月28日(水) 18:00~20:00(仮)※変更の可能性があります。
  • 場 所: 郡山市役所(仮)※変更の可能性があります。
  • 講 師: 小山 良太( 准教授)

開講時期が近づいてきましたら、本ブログでもご案内いたします。どうぞご期待ください。 
                                                    
ふくしま未来食・農教育プログラムに関する情報は、こちら
お問い合わせは、食農プログラム事務室(電話:024-548-8380)まで。。